大きな国の責任

http://www.wafu.ne.jp/~gori/diary3/000194.html
捻じ曲げられる日本人外交官の遺志

TBSといい,アカヒ新聞といい,マスコミは一体何がしたいのか。 なるほど,たしかにアメリカのイラク撤退は,短期的にはイラクの人たちの喜びにつながるかもしれないし,テロの減少につながるかもしれない。 もしかしてソコしか見ていないのではないか?

アメリカの撤退は結局はイラクの人たちを不幸にするのだということになぜ気付かないのだろう。 アメリカが撤退すればソマリアが再現されるのは自明ではないか。
#かつて,アメリカは内戦状態で無秩序な上に,飢餓にまで襲われたソマリアに介入し,秩序と食料をもたらした。 しかし,テロ取締りに市街地で武力を用いるアメリカ兵士はすぐに憎まれ役となった。 やがて「ブラックホークダウン」によって多数の兵士がソマリア国民に殺されると,アメリカはクリントンの政治判断でさっさとソマリアを撤退してしまった。 アメリカ撤退以降のソマリアは,再び内戦状態に陥り,国民は飢餓に苦しむハメになった。 そしてソマリアはそのまま今に至る。 さて,先進国は「ソマリアの人たちのため」に何をすればよかったのだろう。

なるほどたしかにイラクの人たちは,アメリカの撤退と主権回復を望んでいる。 そしてテロという手段に訴えて,その早期実現にまい進している。

だが,イラクの人たちが望んでいるからといって,今の状態のイラクで,アメリカが撤退し,イラクの人たちが主権を回復した場合,イラク全体が主導権争いの無政府状態に陥るのは自明ではないか。 無秩序な社会は,結局はイラクの人たちを不幸にする。 内戦は国土も国民も疲弊させるし,その上,より多くの人が死ぬことになるのだ。

いま,イラクの人たちの短絡的な望みを単純にかなえてあげるということは,単にテロに屈するというだけではなく,中長期的なイラクの人たちの幸せを考えることを放棄することにつながる

その頬かむりは,世界第2位の国がとるべき外交態度ではない。 イラクの人たちからの敵意を前にしても,歯を食いしばって,イラクに秩序を打ち立てることが,世界全体に対して日本の責任を果たすことになるのではないだろうか。

そして,後々のイラクの人々に感謝されるのは,イラクの人たちの望みどおりに手を引いた者ではなく,発展可能な基盤を築くのに尽力した者であると思う。

さぁ,「人間の盾」諸君,イラクの人のためにも,自衛隊がテロにやられることがないように,ただちにイラク入りだ。