知識人の役割

「政府の現実主義に民間も現実主義」
http://tameike.net/comments.htm 11月18日分

まぁたしかにそうなってきている。
#この「民間の成熟傾向」には,インターネット上に情報が流通するスタイルの普及もそれなりに役割を果たしているように思うが,そこまで言うのは期待過剰の過大評価だろうか。

さて,杞憂かもしれないが,この傾向が日本の均質化を招かないことを願う。 ワタクシは理想主義になんの幻想も持たないし,いっそなくなってしまえばいいと思っているが,いざ,理想主義がなくなり,右も左も現実主義となると,ネコも馬鹿も杓子も右へ倣えで思考停止のDQNによる衆愚化が進むであろうことは容易に想像できる。

均質化こそが,系(システム)の最大の敵だ。

先人たちは,社会が均質化しはじめると,それを旧弊・旧制度とよび,その是正に動いた。 幕末から維新にかけて,鎖国体制を旧とし,西洋化を新とする動きが見られたし,大正時代,新たる西洋化の落とし子として資本主義で社会が均質化されはじめるや,知識人は,それを修正対象すなわち旧として,民権運動や労働運動に身を投じた。 終戦直後には,旧体制たる全体主義への反動として民主化が取り組むべき新体制ということで,エネルギが投じられた。 現在,かつて新であった民主化が行き過ぎた民主悪平等に陥り,それが日本を覆い始めると,知識人はそれを旧としてその是正に動き出しているように思う。

知識人には,つねに対立軸を新たに発見することが求められている。 系の均質化を防ぎ,系をlivelyに保つために。